こわい部屋で夜を明かす探索ADV|『こわいへや』感想

無事に夜明けが訪れますように。

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部屋をくれぐれも怒らせないようにね。

それじゃあ、良い夜を。

ジャンル:探索型アドベンチャー/プレイ時間:1時間

 

大好きなフリーゲームクリエイターである六夏(NUMBER7)様が制作された短編ADV。本作は喋る家具たちとの会話を楽しむテキストアドベンチャーに脱出ゲーム的な要素が加わったもので、死とカニバリズムの匂いに満ち、海外文学的なエッセンスが散りばめられた世界観がとても素敵だった。

ゲーム紹介ページに「残酷・グロテスクな表現が含まれている」とあるが、スプラッタホラー系の怖さではなく「意味がわかると怖い」類のものなので、ホラーが苦手な方でも身構えずに遊べると思う。

 

以下、ネタバレあり。

 

探索ポイントは主にダイニング、キッチン、ベッドルーム。主人公のすべきことは夕食を摂り、シャワーを浴びて眠りにつくことのみだが、夜にとる行動によってEDが4種類に分岐する。

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私はED3→1→2→4の順にクリア。初めのうちは部屋自体に好感度があることに気づかず、電話で「帰りたい」だの「部屋が違う」だの文句を垂れてしまいED3に。ベランダの鍵をかけるかどうか、アラームを何時に設定するか。些細な選択が引き金となって生死に直結する結果が導かれるという点では、バタフライエフェクトのような感覚を味わえた。

ED1は、ベランダの鍵を閉めて早起きすると見られるハッピーエンド。バスルームとクローゼットの助言に命を救われた。

個人的にはED2が一番好き。手から離れない包丁と真っ赤なシャツを見つけたときに、もしかして隣人を返り討ちにできるのでは…?と思いつき自力で辿り着けたので達成感があった。「いいことを思いついた」→タイトル『夕飯はシチューにしよう!』の流れがもう最高。

ED4は本作を象徴するような結末になっている。部屋の好感度を上げるべく電話で「部屋が気に入った」と伝えた際の大家の返答がまさかラストに掛かってくるとは……。この伏線回収を最後に味わえて気持ちが良かった。