とあるレビューサイトで紹介されていた『美味しいコーヒーはあなたのために』というフリーゲームがコーヒー好きとしては気になったので、続編『美味しいチョコもあなたのために』と併せてプレイした。
ジャンル的には推理要素のある恋愛ADVで、両作品ともにEDは全8種、30分～1時間程度でフルコンプが可能。
以下、ネタバレあり。
『美味しいコーヒーはあなたのために』
祖父が経営しているカフェの店番を任されている大学生の主人公・壱斗。彼はその店の常連客であり憧れの女性である花実さんを振り向かせるべく日々コーヒー作りに勤しむ…といった初々しい片想いもの。グラフィックはブラウンをベースにした温かみのあるもので、ゆったりとしたピアノのBGMも相俟って実際に行きつけのカフェで寛いでいるような気分にさせてくれる。
ゲームは花実さんの好きなコーヒーを推理する探索パートと、調べた情報を元にコーヒーを作る調理パートに分かれている。調理パートはミルクの種類と有無、砂糖の量を決める程度の簡素なものでありながら、色々な組み合わせを試すのが楽しかった。同じ飲み物でも砂糖の分量によってEDの内容が変わる点が凝っている。
二人があくまでも店員と常連客というカウンターを隔てた距離感で、その関係性がカフェの店内で完結しているところが良い。そもそも花実さんが定期的にカフェに通ってくれなければ成立しない関係性であり、壱斗君の片想いと思いきやちゃんと双方向のアプローチによって成り立っている。
グッドエンドを見た後に冷蔵庫をもう一度調べることで辿り着ける隠しEDは、完成するコーヒーからしてネタに振り切ったものかと思いきや、花実さんの印象が180度変わるものだった。二人きりの店内で「いつもの───を、二人分、お願いします」なんて耳元で囁かれたら壱斗君でなくてもきっと堕ちてしまう。年下男子を悪戯に翻弄する小悪魔系お姉さまを好きにならないはずがないのだ。
EDリストのデザインも可愛い。各コーヒーの解説と作り方、花実さんのドット絵デフォルメイラスト、ゲームの制作秘話が一画面にぎゅっと詰まっていて読み応えがあり、全EDを集めるモチベーションになった。
ED回収順：カフェラテ→コーヒー？→カフェオレ→ブラックコーヒー→カフェモカ→ブレンドコーヒー→ウインナーコーヒー→真・ウインナーコーヒー
『美味しいチョコもあなたのために』
バレンタインをテーマにした今作では、前作に比べグラフィック面・システム面ともに大幅に洗練されている。「店内を見回す」ボタンのみだった探索パートはより自由度の高いポイント＆クリック形式になり、調理パートも一画面にすっきりと収まるレイアウトに。各キャラクターの立ち絵も一新され、表情差分も増えている。
ED数こそ前作と変わらないものの、材料と器具のバリエーションが増えて難易度は少しアップ。手始めにクッキーでも作ってみようと思ったらフォンダンショコラが完成し、意図せず初回でグッドエンドを迎えたりした。
「チョコがもらえなければあげればいい」と、花実さんのためにせっせとチョコ作りに励む壱斗君が健気で微笑ましい。EDリストの小話に「大学でもらった義理チョコの中にはいくつか本命が混じっている」とあったが、本人が無自覚なだけでかなりモテるタイプだと思う。
ED回収順：フォンダンショコラ→チョコ？→チョコクッキー→トリュフ→デコチョコ→チョコブラウニー→チョコプリン→カレーライス
